Open Letter今週末2026年3月28日(土)より、河合浩さんの個展《Heavy Slices, Light Nights》が始まります。Open Letterでの個展は、2022年の《Forgotten Times》以来、4年ぶり2度目。会期は4月25日(土)まで。河合さんは、栃木県益子町の古い一軒家を拠点に制作する画家です。有機的なフォルムが重なり合う抽象絵画、びっしりと敷き詰められたパターン、書のような勢いで引かれた線、木端などを使った立体作品——作風は一つのスタイルに収束することなく、日々更新され続けています。
「野良の画家」という言葉を自分で使います。美術の制度的な文脈への距離感を示すだけでなく、描くことそのものへの純粋な動機を言い当てているようなフレーズです。以前は毎月のようにあちこちで個展を開いていましたが、最近は制作のペースが少し落ち着いてきたと言います。それでも、過去の作品に筆を加えたり、道端で拾ったものに色を載せたりしながら、日々描き続けることは変わりません。
その制作は、否応なく「外」と地続きです。凍った蛇口、布団に入り込んでくる飼い猫ザネの温かさ、確定申告の煩わしさ。選挙のこと、やむことのない戦争のこと。河合さんはそれらを切り離さず、自分なりのやり方で向き合い続けています。Instagramに投稿された1月27日の文章が、その感触をよく伝えています。
「あまりそういうことってないのだけど、チューブから出した割と大きめな絵の具の塊が落下してチノパンの裾のあたりにべとりと付いた。(中略)手を動かせば何かが出来てはいくし、自分のそんな感情もあまり信用は出来ない。オイル交換は行けばいいだけなのになぜだろう向き合いたくない。(中略)俺は苺を買いに行く。」
卑屈になったり空しくなったりすることも正直あるが、基本的にはただ好きなようにやっているだけ、と河合さんは言います。絵を見に来てくれる人がいて、買ってくれる人がいる。それを本当にありがたいと思いながら、淡々と、自分なりにやっていく。過剰な感傷も自意識もなく、ただ静かな確かさがある言葉です。今回のタイトル《Heavy Slices, Light Nights》は、そんな河合さんの時間感覚を映しています。重たく、時にしんどいことが溢れる日々の断片。それでも夜はやってきて、また当たり前のように明けていく。会期中には益子から新作も随時届く予定です。「お部屋に適度な違和感をあたえるようなおもしろい絵」と、河合さん自身が言っています。ぜひ、その違和感を感じにいらしてください。
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