「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ」会場風景
5月9日に開幕した「第61回ヴェネチア・ビエンナーレ」のメイン展示の参加アーティストのうち54組と、22の国別パビリオンのアーティストやキュレーターらが、今年の「ビジター・ライオン賞」の選考対象を辞退する声明を発表した。
e-fluxにて5月9日に公開された声明では、今回の辞任は「コヨ・クオによって選出された審査員団の辞任に連帯を示すため」とされている。これに先駆け、4月22日にソランジュ・オリヴェイラ・ファルカスを議長とする5名の国際審査員団は、「人権保護とコヨ・クオのキュレトリアルプロジェクトの精神へのコミット」の表明として、「指導者が国際刑事裁判所(ICC)によって人道に対する罪で訴追されている国」は金獅子賞・銀獅子賞の審査対象から除外する、という声明を発表。具体的には示されていないものの、この決定により事実上イスラエルやロシアが審査対象から外れることとなり、議論を呼んでいた。

4月30日にはこの「意思表明声明」を踏まえたものとして、5名全員が審査員から辞任することを表明。ビエンナーレ側はこれを受けて、同日に5名の辞任を受理したと発表した。さらに通常は審査員団の選出のもと、開幕日に発表されていた金獅子賞に代わり、観客の投票による「ビジター・ライオン賞」を創設するという異例の措置がとられていた。「ビジター・ライオン賞」は、ジャルディーニとアルセナーレの2会場を訪れた来場者が投票することができ、メイン展示「In Minor Keys」参加アーティストと国別パビリオン、それぞれを対象とするふたつの賞が設けられる。これはイスラエルやロシアを含む、すべてのパビリオンおよびアーティストが選考対象となり、授賞式は閉幕日の11月22日に行われる。
こうした一連の動きを受けて発表された今回の声明には、「In Minor Keys」の参加アーティスト111組のうち半数近い54組が署名。日本から参加している嶋田美子、ブブ・ド・ラ・マドレーヌも名を連ねる。さらにフランス、ベルギー、ポーランドら22の国別パビリオンのアーティストやキュレーターらも参加している。
今年の「ヴェネチア・ビエンナーレ」では開幕前からイスラエルやロシアの参加をめぐって抗議活動が行われており、プレビュー期間の5月8日にはイスラエル館の参加に抗議するストライキとして、複数の国別パビリオンが一時的あるいは終日展示を閉鎖。同日、会場付近ではアクティヴィストグループ「Art Not Genocide Alliance(ANGA)」主導による大規模なデモが実施された。また嶋田美子は、アメリカ館の前で、国際軍事情勢におけるアメリカの責任を問うゲリラパフォーマンスを行なった。
5月6日には、ロシアのアーティストPussy Riotもウクライナの団体FEMENと共同で、ロシア館の前で抗議のアクションを実施していた。